tel:076-445-2051
アクセス

新着情報

8月25日に、消防・防災訓練を行いました。

2016.08.26

 農協会館の消防・防災訓練が、8月25日に行われました。

 農協会館は、消防法にもとづき、年2回の消防訓練と年1回の防災訓練が義務付けられています。そのため、9月1日の「防災の日」に合わせて、1回目の訓練を8月下旬に、また、秋の全国火災予防運動に合わせて、2回目の訓練を11月の中・下旬に実施しています。

 

 今回の訓練には、会館に入居している9団体から19名が参加。
 約2時間にわたって、AEDを使った救命講習や消火栓、消火器の操作方法などを学びました。

 

 

富山消防署の竹本さんの指導を受けながら救命講習を受ける参加者。

富山消防署の竹本さんの指導を受けながら救命講習を受ける参加者。

 初めに実施した訓練は、救命講習。約90分間の「救命入門コース」です。
 講師は、富山消防署救急課の竹本佳正さん。
 竹本さんは、「倒れている人を発見した場合、救急隊が到着までの間、どれだけ心肺蘇生を行ったかが、その後の生存率などに影響を及ぼす。富山市の場合、救急車の到着所要時間は、平均約7分間となっている。心停止などは、2~3分を経過するとダメージを受けることが多いため、救急隊が現場に着くまで、胸骨圧迫による心肺蘇生を最後まで続けてもらいたい」と、心肺蘇生の大切さを強調しました。

 
 参加者は男女2班に分かれ、呼吸の確認や胸骨圧迫、AEDの使い方などを研修。
 マネキンを相手に、「1、2、3、4………」と大きな声を出し、1分間に100回を目標としてリズムを取りながら、胸骨圧迫やAEDの使い方などを実習しました。
 講習終了後、竹本さんから参加者全員に「救命入門コース参加証」が渡されました。

 

 

避難訓練のため、9階から階段を使って真剣に駆け降りる参加者たち。

避難訓練のため、9階から階段を使って真剣に駆け降りる参加者たち。

 続いて、避難訓練。
 8階の喫煙室から火事が発生したとの想定で、富山消防署に通報する一方、参加者全員で研修場所の9階会議室から階段を使って、1階ロビーまで駆け降りました。避難先に到着するまでの所要時間は、2分20秒。今までの訓練の中で、最も早く避難することができました。

 

 最後は、消火栓と消火器を使った消火訓練。
 屋内消火栓は、館内に設置してあることを知っていても、直接手にする機会はなかなかありません。1階ロビーで、㈱北陸綜合防災センターの担当者から操作方法を聞いたあと、男性職員2名が大きな声を出して連携を取りながら、①消火栓を開ける②30メートルのホースを引き出す③開閉弁を開けるなど、一連の訓練を行いました。

 消火器についても、担当者から操作方法の説明を聞いたあと、6名がそれぞれ消火器を手に持ち、安全ピンをはずし、レバーを握りなから消火剤を噴霧して、使い方を確認しました。

 今回の訓練にあたり、富山消防署と㈱北陸綜合防災センターの方々に、大変お世話になりました。改めて、心から感謝申しあげます。(O)

 

車中雑感

2016.08.24

[花]トルコききょう(コサージュブルー)、モカラ(カリプソ)、日扇の実、[葉]モンステラ、ゴットセファナ、[枝]バンブー

[花]トルコききょう(コサージュブルー)、モカラ(カリプソ)、日扇の実、[葉]モンステラ、ゴットセファナ、[枝]バンブー

 毎日、あいの風とやま鉄道を利用して通勤しています。
 駅にして5駅。電車に乗っている時間は、ちょうど25分間。

 改札もない、屋根もない無人駅から電車に乗っています。乗車位置は、いつも決まって1両目、最後部のドア付近。乗るのは、通学・通勤時間帯だけに、ほとんどが高校生か社会人。定刻の電車に乗るので、顔ぶれはほぼいつも同じ。名前の分かる人は一人もいませんが、会わない日が続くと、「どうしたのかなー」とふと気になります。

 在来線にJR西日本が走っていた頃は、6両編成でした。
 第三セクターのあいの風とやま鉄道になってからは4両編成になり、車両自体もやや小さくなったため、混雑状況がひどくなりました。学生時代に四年間、東京の私鉄、東武東上線を利用していましたが、毎朝すし詰め状態で、四苦八苦しました。もちろん都会のラッシュアワーの比ではありませんが、ローカル線の割には混雑しています。JR西日本の時は、結構座れましたが、今は座るどころではありません。
 といっても、乗車時間はたかが25分程度ですから、立っていても…。

 車内はと見回すと、年齢や性別を問わず、最近では大半の人がスマホを見ています。
 「ガラケー」人間としては、やや違和感がありますが、今は完全にスマホ社会のようです。以前、サラリーマンといえば、日経新聞を開いていたものですが、新聞を手にしている人自体、あまり見掛けません。本を手にしている人も、かなり減った気がします。車中での読書を楽しみにしている一人としては、やや淋しい思いがあります。
 それでも、受験生なのでしょう。試験期間でもないのに、狭い車中で教科書やテキストに真剣に向き合っている高校生たちを見ると、頭が下がります。

 オリンピックの応援疲れなのでしょうか?
 静かな車内から、軽やかなイビキが聞こえてきます。離れていたため、どなたか分かりませんでしたが、余程疲れがたまっていたのでしょう。満員電車の中で、朝からイビキが聞こえてくると、場違いだけに微笑ましくなります。
 確かに連日のメダルラッシュで、最高に盛り上がった今回のオリンピック。早朝から日本人が大活躍する熱戦や感動的なシーンが続いたため、日本中が寝不足気味になったようです。

 ある夕方、車内で四人連れの親子を見掛けました。
 30代半ば過ぎのお母さんと、男の子3人の家族連れ。子どもたちは、7歳と4歳、そしてお母さんの腕に抱かれている子は4カ月ぐらいでしょうか?
 始発の富山駅から乗車し、空席があるにもかかわらず、この家族はドアの傍に立っています。会話の内容はわかりませんが、楽しそうな雰囲気がこちらまで伝わってきます。上の子供たちは、騒ぎ回るわけでもなく、大声を発するわけでもなく、静かに車窓を眺めています。
 ただ、それだけのことですが、この家族がその場にとてもマッチしているように感じられました。

 近くに席が開いているにもかかわらず、誰も座わろうとしません。お母さんの教育方針なのかもしれません。子供たちは、愚図るでもなく、不平不満を言うでもなく、当たり前のようにドア付近に立っています。お母さんも、乳呑児を抱いて疲れるだろうに、傍らにそっと立っておられます。
 そのお母さんの子供たちを見つめる眼差しのやさしいこと、そして表情の柔らかいこと。
 夕方になり、1日の疲れも出る時間帯のはずなのに、3人の手の掛かる子供を抱え、育児に大変だろうに、お母さんの顔からは慈愛に満ちたものが溢れていました。

 今の子供たちは、ゲーム機に興じ、車内では静かにしていることが多いようです。
 時々、電車に乗れたことが嬉しいのか、大声を出して通路を走り回り、親に叱られる子供たちを見ることがあります。何を怒っているのか、お母さんの苛立った声やイラだつ素振りを見掛けることもあります。

 それだけに、四人連れの親子から他の家族に感じられない、心地よい温かさが感じられました。
 さすがに高岡駅に着いたときには、一番上のお兄ちゃんを除いて、下の子とお母さんは近くの席に座られました。相変わらずその席から、楽しげで温かな雰囲気が伝わってきます。

 この家族が、最後どこまで乗車されたのか、わかりません。

 降車駅である無人駅に着きましたので、先に電車から降りましたが、なぜかこの家族に幸多かれと祈る思いにさせられました。(O)

小さな珍客

2016.08.10

[花]グロリオーサ(サザンウィンド)、トルコききょう(コサーシュスノー)、ひまわり(サンリッチオレンジ)、けいとう、[葉]アレカヤシ、ドラセナ(ピンクレディー)、(枝]雲竜柳

[花]グロリオーサ(サザンウィンド)、トルコききょう(コサーシュスノー)、ひまわり(サンリッチオレンジ)、けいとう、[葉]アレカヤシ、ドラセナ(ピンクレディー)、(枝]雲竜柳

 玄関の庭先に、一匹の居候が居座っています。
 トノサマカエルです。
 「なんだ、カエルかー」と笑われそうですが、日ごとに気になる存在になっています。

 わが家に来て、もう3週間余り。
 というか、正確に言うと、このトノサマカエルの姿を見掛けてから、約3週間。
 大きさは、9センチほどで、やや太め。茶と黒と白色の混ざったトノサマカエルです。

 初めて、このカエルを見たのは、朝の水遣りの時。
 連日、猛暑が続いている昨今。毎朝、6時過ぎからの水遣りが、すっかり日課となっています。一日でも水遣りを怠ると、花や野菜たちは、アッという間にしおれてしまいます。たかが水遣りですが、30鉢近くある草花に水を遣っていると、それなりに良い運動になります。
 そういった中で、鉢の中に座っているトノサマカエルを見つけました。

 水を掛けると逃げると思ったのですが、全く動く気配がありません。如雨露(じょうろ)から流れ落ちる水が気持ち良いのか、目を開けたまま、じっとしています。
 されるがままにシャワーを浴びて、心なしか嬉しそうにすら見えます。

 このトノサマカエル。
 小さな庭の木陰や草花の下など、それなりに隠れ場所があるはずなのに、朝方は決まって鉢の中にいます。それも、なぜか山野草の鉢がお気に入りのようです。3種類の鉢の中に、日替わりで座っています。トノサマカエルに座られると、大切にしている山野草が重みで一部折れたりしますが、今回は目をつむっています。

 なついているわけでもなく、愛嬌を振りまいてくれるわけでもありません。
 それでも、いつの間にか、帰宅時には鉢の中を覗くようになっています。残念ながら夕方は、別のところにネグラがあるのでしょうか、あまり見掛けることはありません。
 でも、朝になると、いつもの鉢にちょこんと座っています。

 小さい頃は、カエルをよく捕まえて遊んでいました。さすがにヒキガエルは苦手ですが、小さなアマガエルなどはよく手にしていたものです。といって、嫌いな生きものではありませんが、特にカエルが好きというわけでもありません。

 不思議なものです。
 小さいながら、トノサマカエルの存在が気になりつつあります。

 時々、なぜか朝にもいない日があります。
 つい、どうしたのかと、心配になります。
 どこへ行こうと、カエルの自由なのですが、何かあったのではと、気になります。

 カエルに表情というものがあるのか知りませんが、最近、目がクリクリとしていて、可愛く見えてきました。心なしか背筋がピーンと伸びていて、凛凛しくさえ見えてきました。

 この頃、小さな珍客に、もう少し長居してもらいたいと思い始めています。(O)

 PS.来週は、1回お休みをいただきます。

耐震工事、約81%終了しました。

2016.08.03

[花]ゆり(イエローウィン)、オンシジューム(ハニーエンジェル)、トルコききょう、[葉]タカノハススキ、モンステラ(斑入)、ドラセラ

[花]ゆり(イエローウィン)、オンシジューム(ハニーエンジェル)、トルコききょう、[葉]タカノハススキ、モンステラ(斑入)、ドラセラ

 7月27日、3階フロアーの耐震改修工事の完成検査が行われました。

 3階は、全農富山県本部の事務所や会議室などがありますが、工事期間中、事務所内部の3カ所に仮間仕切りを設置しました。仮間仕切りは、耐震ブレスを設置する箇所にパーテーションを立ち上げたもので、窓際から約4メートル、幅約5メートルの大きさです。
 そのため、事務所全体のレイアウト変更をしてもらいましたが、手狭になり、空調関係にも大きな影響が出るなど、大変ご迷惑をお掛けしました。

 3階の耐震工事は、昨年12月から始まり、7月の完成引渡しまでに8カ月間掛かったことになります。今回の工事により、3階フロアーには、耐震ブレス9台と耐震壁1台が新しく設置されました。

 会館全体の耐震工事は現在、2階と1階で進められています。

 2階フロアーは、耐震壁1台の新設、そして耐震ブレス9台の搬入と組立てがすべて終了し、今後はファンコイルの更新や化粧パネルの設置などを進め、11月上旬に完成する予定です。
 1階フロアーは、天井解体がすべて終了し、9月中旬から順次鉄骨ブレス6台の搬入、組立てを行い、工事終了は12月下旬を予定しています。

 3階フロアーの完成にともない、7月末現在、耐震工事の進捗率は約81%となりました。
 耐震改修工事は、計画どおり順調に進んでいます。(O)

クロマチックハーモニカ

2016.07.26

 

[花]カラー(フロレックスゴールド)、カーネーション(ゴーレム)、グロリオーサ、りんどう[枝]野ばら、木苺

[花]カラー(フロレックスゴールド)、カーネーション(ゴーレム)、グロリオーサ、りんどう[枝]野ばら、木苺

 先日、珍しいコンサートに行って来ました。
 ハーモニカのコンサートです。
 年間10回程度、クラシックを中心に様々なジャンルのコンサートに出掛けますが、ハーモニカの演奏会は生まれて初めて。

 南里沙クロマチックハーモニカコンサート。
 高岡文化ホールで開かれた、ワンコインコンサート。ランチタイムに約1時間、500円で一流アーティストの演奏を楽しめるというコンサートです。

 クロマチックハーモニカ奏者の南里沙(りさ)さん。
 3歳でピアノ、12歳でオーボエを始め、神戸女学院大学音楽科オーボエ専攻卒業。大学在学中にクロマチックハーモニカに出会い、音色に魅せられて研鑽を積む。国内・国際コンクールで数々の優勝を果たし、国内外の交響楽団とも共演。クロマチックハーモニカの美しい音色と、テクニックの高さ、音楽のジャンルを超越した活動で注目を集める、とあります。

 ハーモニカと聞くと、小学校の時、音楽の授業で習ったハーモニカのイメージしかありません。
 あのような楽器で、どのような演奏会になるのかと興味津々でしたが、南さんが使用した楽器はクロマチックハーモニカ。
 南さんによると、クロマチックとは「半音階」という意味で、クロマッチハーモニカは、たった16個の穴と横にあるレバーの操作だけで、4オクターブ+2音を出すことができ、ピアノの白鍵黒鍵の音がすべて鳴らせるとのこと。

 曲目は、「リベルタンゴ」「愛燦々」「ベガの涙」など、8曲。
 演歌、タンゴ、クラシックなど、幅広い年代層の方が楽しめるようにと、工夫した選曲となっていました。伴奏のギターリストの方とも、うまくマッチしていて、失礼ながら予想以上に楽しめたコンサートでした。
 心に残ったのは、「ガブリエルのオーボエ」とアンコール曲「上を向いて歩こう」の2曲。

 通常のコンサートの場合、チケットの売行き状況で、ある程度来場者数が見込めます。
 ワンコインコンサートだと、チケットを事前販売していないだけに、どれだけの来場者があるか、当日、開演してみないとわかりません。
 それだけに、南里沙さんも「大きなホールに、もし5~6人のお客様だけだったらどうしよう」と、開演直前まで心配されていたようですが、開演時にステージ上から多くの来場者を見てホッとした、と冒頭で語っておられました。

 そのようなこともあったためか、南里沙さんの熱のこもった演奏。そして、曲と曲の合い間にある軽妙で、楽しい語り口。これらが、うまくミックスし合って、アッという間の約1時間でした。

 
 ハーモニカという小さな楽器に、これだけの奥行きと深みが出せるのかと、正直驚かされました。
 今までまったく存在すら知らなかった、「クロマッチハーモニカ」という楽器。南里沙さんのおかげで、新たな分野を教えていただきました。

 ただ一方で、一つの音楽としての捉えた時、最後まで何か物足りなさを感じたことも事実です。

 オーボエ奏者からクロマチックハーモニカ奏者という、あえてマイナーな道を選んだ南里沙さん。今後、一層のご活躍を期待したいと思います。

 次回は、富山県での3回目コンサートとして、途中、休憩時間をはさむ通常のスタイルで、ゆっくりと聴かせてもらいたいです。(O)

渡辺和子さん

2016.07.20

[花]アンスリューム、トルコキキョウ、ユリ、オンシジューム(スイートシュガーベイビー)、[葉]オクラレルカ、キリフキ草、赤ドラセナ、ゴットセファナ

[花]アンスリューム、トルコキキョウ、ユリ、オンシジューム(スイートシュガーベイビー)、[葉]オクラレルカ、キリフキ草、赤ドラセナ、ゴットセファナ

 久し振りに渡辺和子さんの本を読みました。
 「強く、しなやかに  回想・渡辺和子」(山陽新聞社、渡辺和子編著)という本です。

 渡辺和子さんは、いうまでもなく200万部以上売れたという、あのベストセラー「置かれた場所で咲きなさい」(幻冬舎)の著者です。この本は、多くの方に感銘を与え、実際手に取り、読まれた方も多いと思います。

 小生が初めて渡辺和子さんの著書を手にしたのは、学生時代のことです。もう40年も前のことになります。以来、渡辺和子さんの本が好きで、手に入る本はほとんどを読ませてもらったと思います。
 渡辺さんの数ある本の中で、一番好きな本は、「現代の忘れもの」(日本看護協会出版会)です。
 わずか100ページ足らずの薄い本ですが、心に残る本です。今までに何回読んだことか…。節目あるたびに、なぜか繙(ひもと)く本の一冊となっています。昨年、一部の文章が追加され、新装版が出版されましたが、やはり以前の古いデザインの方に親しみを覚えます。

 
 一度だけ、渡辺和子さんの講演を聞いたことがあります。
 東京のJR四ツ谷駅前にある、聖イグナチオ教会で開かれた講演会の時です。今からかれこれ30年前のことでしょうか。上智大学に隣接している聖イグナチオ教会。都内では、カトリック信者でなくとも知っている人が多い、有名な教会で、現在は円形のモダンな建物に建て替えられていますが、その当時は風格を備えた重厚な教会でした。

 たまたまポスターで、渡辺和子さんの講演会のことを知り、どうしても渡辺さんの肉声が聞きたくて、聖イグナチオ教会に出掛けました。土曜日の午後、早めに着きましたので前の方に座れましたが、講演が始まる頃には、かなり大きな聖堂でしたが、すべての椅子が埋め尽くされ、立見も出るほどでした。

 訥々と静かな語り口で話す渡辺和子さん。平易な言葉で語られる内容は、自らの体験にもとづくもので、重みがあり、素晴らしいものでした。当然、本の内容と重複する部分がありますが、改めてご本人の口を通してお聞きすると、沁みわたるように心に響きました。
 清楚な中にも、内に秘められた強さのようなものを感じたことを覚えています。

 今回読んだ「強く、しなやかに」は、今までの著書とはひとあじ違った味わいを持った本でした。

 この本は、岡山県で発行されている山陽新聞の朝刊に、2015年2月26日から63回にわたって、連載されたものをまとめたものです。2月26日といえば、昭和11年に二・二六事件が起きた日。この日、「陸軍教育総監の要職にあった父を持つ当時9歳だった渡辺さんは、自宅を襲われ、眼前で最愛の父を失いました。」(284P)
 この連載は、始まるともに大きな話題を集め、「近年、これほど反響が大きかった新聞連載はなかったといえるでしょう。」(同P)と、山陽新聞社の編集局長が本のあとがきに記しています。

 三浦綾子さん、神谷美恵子さん、鈴木秀子さん、そして渡辺和子さん。
 女性の作家で、今まで色々な意味で影響を受けてきたのは、この4氏の方です。すでに召天された方もおられますが、手元にある著書を通して、今も語りかけてもらっています。

 最後に、「強く、しなやかに」の中で、心に残った渡辺和子さんの言葉を紹介させてもらいます。(O)

 「でもね、つまずいたからこそ今がある。発想を転換すれば、今日が私にとっては一番若い日。今日より若くなることはないのだから、今日を輝いて生きていきたい。いつもそう思って過ごしています」(191P)

 「人生には思いがけない失敗や病気などでぽっかり穴が開く時があります。その時に嘆いたり、悲しんだり、後悔したりするのは人の常ですが、穴が開いたからこそ見えてくるものがあるはずです。自分にとって何のために開いた穴なのか。発想を変えてそれを考えるようにしたらどうでしょう」(192P)

「アンノーという人」

2016.07.12

[花]デンファーレ(ソニア)、トルコききょう(ボヤージュグリーン)、てまり草、[葉]サンデリアーナ(ビクトリー)、[枝]木苺

[花]デンファーレ(ソニア)、トルコききょう(ボヤージュグリーン)、てまり草、[葉]サンデリアーナ(ビクトリー)、[枝]木苺

 画家・安野光雅(あんの みつまさ)さんの展覧会に行ってきました。

 「御所の花」と銘打って、福光美術館で開かれている安野光雅展。
 安野さんの卒寿(90歳)を記念して開催されているもので、天皇・皇后両陛下のお住まいである皇居吹上御所の庭に咲く花々を描いた水彩画、130点が展示されていました。

 安野光雅さんの名前を初めて知ったのは、高峰秀子さんの本。
 大女優として有名な高峰秀子さん。エッセイストとしても著名で、「好きなエッセイストを誰か一人」と聞かれれば、迷うことなく高峰秀子さんを挙げます。リズム感があり、キレのある文章。みごとなまでに剃(そ)ぎ落とされた文体は、高峰秀子さんの生き様そのものを表しているようです。

 高峰秀子さんの著書に、「おいしい人間」(文春文庫)という本があります。
 この本に、「アンノーという人」という一文が掲載されていますが、この「アンノー」こそが、まさに安野光雅さん。

 「アンノでーす」と、ズバリ言わせてもらうなら背広を着た熊の子みたいなオッチャンが現れたのにはビックリした。ヘアスタイルは現在(いま)ほどひどくなく、モジャモジャの『モジャ』くらいだが、上衣のボタンが1個かけちがっていて、ネクタイがひん曲がっている。私は自己紹介もそこそこに、思わず駆け寄って上衣のボタンを外してネクタイを直した。

…中略…

 その対談がキッカケとなって、熊の子と、古狸のような私の、マンガチックな交流がはじまった。」(「おいしい人間」文春文庫、127~128P)

 
 NHKのビデオ撮りの際に、初めて安野光雅さんに会った時のことを、高峰秀子さんは、ユーモラスに楽しく本に記しています。

 確かに高峰秀子さんの本には、良き親友としてたびたび安野光雅さんが登場し、安野さんの詩情あふれる柔らかな画が、高峰秀子さんの数多くの著書の装丁や挿絵として描かれています。

 以来、安野光雅さんは何となく心にかかる存在となっていました。それだけに、近くで安野光雅展が開催されていることを知った時は、驚きました。

 山あいの、豊かな自然に囲まれている福光美術館。
   日曜日の夕方、閉館時間近くに訪ねたせいか、鑑賞する人はまばら。

 春から夏へ、夏から秋へ、そして秋から冬へと、四季の草花を丁寧に描かれた絵画。大都会・東京にある皇居に、いまだにこのような豊かな自然が残されているのかと、驚かされました。描かれているのは、華麗な花々というよりは、山野草に近い素朴な草木ばかり。
 原色や派手な色をほとんど使わずに、淡い色調の水彩画が並んでいます。細部まで書き込まれ、落ち着いた雰囲気が画全体に満ちています。

 展示物がすべて水彩画というのも、初めての体験でしたが、十分に楽しめました。
 一度もお会いしたこともなく、数多くある著書を読んだこともありませんが、安野光雅さんの飾らない優しい人柄にそっと触れた気がしました。
 敬愛する高峰秀子さんと、生涯良き友だったのも頷ける気がしました。(O)

蛍狩り

2016.07.05

七夕です。[花]スプレーデルフィニューム(グランブルー)、りんどう、カーネーション、ピンポンマム(ヒーリング)、[葉]細葉ルスカス、レザーファン、[枝]バンブー

七夕です。[花]スプレーデルフィニューム(グランブルー)、りんどう、カーネーション、ピンポンマム(ヒーリング)、[葉]細葉ルスカス、レザーファン、[枝]バンブー

 ポッ、ポッ、と優しい光が、夜空に浮かんでいます。
 わずか2匹だけですが、蛍が舞っています。我が家の庭で蛍を見るのは、本当に久しぶりです。以前見たのは、確か5~6年前だったと思います。
 不思議なものです。あの淡い光を見つめていると、神秘的な思いにさせられます。なぜか、悲しみに満ちた哀惜の情すら感じてしまいます。

 水路の整備や河川改修が進み、水田に農薬が散布されている今日。
 蛍の乱舞を見ることは、ごく一部の地域を除いて、残念ながら少なくなったようです。現在住んでいる市街地に近いA市はもちろんのこと、B市にある山深い実家の周辺ですら、イノシシやカモシカなどが出て困っている山間地にもかかわらず、まず蛍を見掛けることはなくなりました。
 蛍の好物であるカワニナやタニシも、以前はたくさんいたのに、今はほとんど見なくなりました。

 
 「蛍狩り」。
 今の子供たちは、この言葉を知っているのでしょうか。聞いたことがないかもしれません。
 蛍狩りを実際に体験したことのある子どもは、ごくわずかかもしれません。

 小生の小学生の頃。
 もう半世紀も前のことになりますが、七夕の時季になると、あちこちで見事なほどの、蛍の乱舞が見られたものです。夕暮れとともに、ほのかな蛍の光があちこちで点在しはじめ、とっぷりと日が暮れた頃には、漆黒の闇の中から素晴らしい光の舞いが浮かび上がってきました。
 昼の間に、川辺に生い茂っている細長い竹を切っておき、夕食後、子供たちだけで集まり、竹で蛍を追いかけまわしたものです。虫かごのような立派なものがあるはずもなく、透明なビンを各自家から持ってきて、入口を紙でおおい、空気穴を開け、捕った蛍を一匹ずつ入れました。

 蛍狩りとは、蛍を捕まえることではなく、本来は乱舞する姿を鑑賞して楽しむことを指すようです。
 しかしながら、子供にそのようなことなど分かるはずもなく、ただ捕まえることに夢中になって飛び回っていました。

 寝る時には、もちろん蛍を入れたビンを枕元に置いて寝ました。
 真っ暗にすると、透明なビンから幻想的な光が放たれます。時には、蛍を自由にしてやろうと、部屋の中に放つこともありました。のびのびと蛍が舞っている姿に、子供ながら感じ入るものがありました。疲れとともにいつの間にか、心地良い眠りに着いたものです。

 翌朝目覚めると、畳のあちこちに黒い点があります。
 あの蛍たちです。もう動かなくなっていました。

 子供ながらに、やってはいけないことをしてしまったという、自責の念にかられました。

 あの蛍独特の匂いとともに、苦い思い出として、今も心に残っています。(O)

空調設備のありがたみ

2016.06.28

 4階フロアーの耐震改修工事がほぼ終了し、6月27日(月)に完成検査が行われました。

 4階は、昨年11月から工事を始め、工事終了まで約8カ月間掛かったことになります。フロアー全体に、耐震ブレース9台と耐震壁1台が、新しく設置されました。
 残りの工事は、エレベーター横にあるエントランスだけとなり、ロビーの一画には喫煙ルームが作られ、7月10日に完成する予定です。

[花]胡蝶蘭、グロリオーサ(サザンウィンド)、モカラ(チャックワンブルー)、トルコききょう(パティオオレンジ)、[葉]トクサ、ナルコラン、木苺、[枝]スモリーツリー

[花]胡蝶蘭、グロリオーサ(サザンウィンド)、モカラ(チャックワンブルー)、トルコききょう(パティオオレンジ)、[葉]トクサ、ナルコラン、木苺、[枝]スモリーツリー

 4階フロアーには、建築設計事務所などの事務室のほかに、全農富山県本部の会議室などが多くありますが、耐震改修工事のため、ほとんど使用できない状況が続いていました。
 長期にわたり、大変ご迷惑とご不便をお掛けしましたが、やっと本来のスタイルに戻ることが出来ました。

 また、耐震改修工事にあわせて、空調設備の更新工事も実施していましたが、1階、2階の窓際にあるファンコイルなど、一部の工事を除き、会館全体の主な空調工事は終了しました。

 農協会館の空調は、北側系統(天米側)、南側系統(NHK側)、西側系統(公園側)の3系統からなり、地下1階にある機械室で集中管理しています。
 空調設備の更新工事は、「中間期」を利用して実施しました。中間期とは業界用語で、暖房や冷房を使用しない時期の事をいいます。
 北側系統は昨年9月1日から11月15日まで、南側系統は今年4月1日から6月12日まで、西側系統は4月1日から6月26日まで、冷暖房を使用しない中間期に、空調工事を実施しました。工事内容は、各階の機械室にある大型空調機の入替えと配管の交換が、主な作業です。

 本来ならば、中間期はあまり冷暖房を使用しなくてもいい時期のはずですが、温暖化のためでしょうか、不安定な天候が続きました。

 そのため、昨年9月1日から北側系統の空調を止めた時は、残暑が厳しかったため、北側に事務所を構えているスタッフの皆様から、「暑くて、仕事にならない」「扇風機を回しても、熱風が来るだけで集中できない」など、多くのクレームの言葉をいただきました。
 4月1日から南側系統の空調を止めた時には、南側に事務所を構えている入居者の皆様から、同様に厳しい声を頂戴することもありました。特に5月下旬から急に気温が上昇し、連日25度以上の日が続いた頃には、大変ご迷惑をお掛けしました。改めて、深くおわび申しあげます。

 南側系統は、竹中工務店の皆さんのおかげで、工期が予定より2週間短縮となり、6月13日から空調が使用出来るようになりました。西側系統も、6月27日から空調が使えるようになり、やっと全館の冷房が入るようになりました。
 どちらかというと、普段あまり意識することがなかった空調設備ですが、今回ありがたみをしみじみと感じました。

 今回の工事終了にともない、6月末現在の耐震工事進捗率は約77%となりました。
 工事は、計画どおり順調に進んでいます。
 耐震改修工事は、ちょうど第3コーナーを回り、第4コーナーに掛かり始め、はるか前方にゴールらしきものが見え始めたというところでしょうか。(O)

1階エントランスが、新しく変わります。

2016.06.22

[花]ゆり(ビビアナ)、アガパンサス、オンシジューム(ハニー)、カーネーション(ピエット)、[葉]モンステラ、レザーファン、アガパンサス

[花]ゆり(ビビアナ)、アガパンサス、オンシジューム(ハニー)、カーネーション(ピエット)、[葉]モンステラ、レザーファン、アガパンサス

 耐震改修工事は6月4日から、いよいよ最終階である1階フロアーの工事に入りました。

 1階フロアーについては、耐震改修工事にあわせて、エントランスホールの天井にある照明のLED化を計画しています。

 現在は、通常の蛍光灯を使用していますが、蛍光灯の寿命が約4年間と短く、エントランスの天井の高さが高いうえに、格子状のアルミ製カバーが取付けてあります。そのため、蛍光灯を交換する際には、専門業者に依頼し、休日に高所作業車を使用して作業してもらっています。

 LED化は、もう時代の流れです。LED化にともない、試算によると蛍光灯の寿命は約13年に延び、電力料金も大幅なダウンが想定されています。照明器具をすべて新しくし、格子状の天井カバーを取り外すため、今までよりかなり明るくなる予定です。

 エレベーター前についても、LED化とともにし、新たにダウンライト16基を設置する計画です。

農協会館1階エントランスホールの完成予想図です。

農協会館1階エントランスホールの完成予想図です。

 LED化工事は、耐震改修工事と合わせて、12月中旬までに終了する予定です。完成予想図をお付けしましたので、新しくなるエントランスのイメージをご確認ください。

 農協会館の正面玄関、そしてエントランスホールは、今までと異なったイメージに新しく変わります。
 「新しい顔の誕生」を、今から楽しみにお待ちください。(O)

 PS.写真をクリックしていただくと、全景を見ていただく事ができます。

 

カテゴリ

Page Top