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渡辺和子さん

2016.07.20

[花]アンスリューム、トルコキキョウ、ユリ、オンシジューム(スイートシュガーベイビー)、[葉]オクラレルカ、キリフキ草、赤ドラセナ、ゴットセファナ

[花]アンスリューム、トルコキキョウ、ユリ、オンシジューム(スイートシュガーベイビー)、[葉]オクラレルカ、キリフキ草、赤ドラセナ、ゴットセファナ

 久し振りに渡辺和子さんの本を読みました。
 「強く、しなやかに  回想・渡辺和子」(山陽新聞社、渡辺和子編著)という本です。

 渡辺和子さんは、いうまでもなく200万部以上売れたという、あのベストセラー「置かれた場所で咲きなさい」(幻冬舎)の著者です。この本は、多くの方に感銘を与え、実際手に取り、読まれた方も多いと思います。

 小生が初めて渡辺和子さんの著書を手にしたのは、学生時代のことです。もう40年も前のことになります。以来、渡辺和子さんの本が好きで、手に入る本はほとんどを読ませてもらったと思います。
 渡辺さんの数ある本の中で、一番好きな本は、「現代の忘れもの」(日本看護協会出版会)です。
 わずか100ページ足らずの薄い本ですが、心に残る本です。今までに何回読んだことか…。節目あるたびに、なぜか繙(ひもと)く本の一冊となっています。昨年、一部の文章が追加され、新装版が出版されましたが、やはり以前の古いデザインの方に親しみを覚えます。

 
 一度だけ、渡辺和子さんの講演を聞いたことがあります。
 東京のJR四ツ谷駅前にある、聖イグナチオ教会で開かれた講演会の時です。今からかれこれ30年前のことでしょうか。上智大学に隣接している聖イグナチオ教会。都内では、カトリック信者でなくとも知っている人が多い、有名な教会で、現在は円形のモダンな建物に建て替えられていますが、その当時は風格を備えた重厚な教会でした。

 たまたまポスターで、渡辺和子さんの講演会のことを知り、どうしても渡辺さんの肉声が聞きたくて、聖イグナチオ教会に出掛けました。土曜日の午後、早めに着きましたので前の方に座れましたが、講演が始まる頃には、かなり大きな聖堂でしたが、すべての椅子が埋め尽くされ、立見も出るほどでした。

 訥々と静かな語り口で話す渡辺和子さん。平易な言葉で語られる内容は、自らの体験にもとづくもので、重みがあり、素晴らしいものでした。当然、本の内容と重複する部分がありますが、改めてご本人の口を通してお聞きすると、沁みわたるように心に響きました。
 清楚な中にも、内に秘められた強さのようなものを感じたことを覚えています。

 今回読んだ「強く、しなやかに」は、今までの著書とはひとあじ違った味わいを持った本でした。

 この本は、岡山県で発行されている山陽新聞の朝刊に、2015年2月26日から63回にわたって、連載されたものをまとめたものです。2月26日といえば、昭和11年に二・二六事件が起きた日。この日、「陸軍教育総監の要職にあった父を持つ当時9歳だった渡辺さんは、自宅を襲われ、眼前で最愛の父を失いました。」(284P)
 この連載は、始まるともに大きな話題を集め、「近年、これほど反響が大きかった新聞連載はなかったといえるでしょう。」(同P)と、山陽新聞社の編集局長が本のあとがきに記しています。

 三浦綾子さん、神谷美恵子さん、鈴木秀子さん、そして渡辺和子さん。
 女性の作家で、今まで色々な意味で影響を受けてきたのは、この4氏の方です。すでに召天された方もおられますが、手元にある著書を通して、今も語りかけてもらっています。

 最後に、「強く、しなやかに」の中で、心に残った渡辺和子さんの言葉を紹介させてもらいます。(O)

 「でもね、つまずいたからこそ今がある。発想を転換すれば、今日が私にとっては一番若い日。今日より若くなることはないのだから、今日を輝いて生きていきたい。いつもそう思って過ごしています」(191P)

 「人生には思いがけない失敗や病気などでぽっかり穴が開く時があります。その時に嘆いたり、悲しんだり、後悔したりするのは人の常ですが、穴が開いたからこそ見えてくるものがあるはずです。自分にとって何のために開いた穴なのか。発想を変えてそれを考えるようにしたらどうでしょう」(192P)

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