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「たまちゃんのおつかい便」

2016.08.31

[花]ゆり(エマニー)、オンシジューム(ハニー)、カーネーション(マンダリン)、グロリオーサ(ビック)、[葉]ナルコラン(エクセレントフレア)、[枝]どうだんつつじ、ヒペリカム

[花]ゆり(エマニー)、オンシジューム(ハニー)、カーネーション(マンダリン)、グロリオーサ(ビック)、[葉]ナルコラン(エクセレントフレア)、[枝]どうだんつつじ、ヒペリカム

 作家・森沢明夫さんの本にハマっています。
 現在読んでいる本は、「たまちゃんのおつかい便」(実業之日本社)です。

 初めて森沢明夫さんの名前を知ったのは、映画「あなたへ」が上映された時。
 この映画は、ご承知のとおり、俳優・高倉健さんが最後に主演した映画で、モントリオール世界映画祭や日本アカデミー賞などで各賞を受賞しています。映画のロケ地として、富山刑務所が選ばれたことでも、話題を集めましたが、この映画の脚本のベースとなったのが、森沢明夫さんの小説「あなたへ」(幻冬舎文庫)です。

 森沢明夫さんの著書は、「津軽百年食堂」、「夏美のホタル」、「エミリの小さな包丁」、「癒し屋キリコの約束」、「ミーコの宝箱」など読ませてもらっていますが、印象に残っているのは、吉永小百合さんが主演女優を演じ、初めてプロデュースした「虹の岬の喫茶店」(幻冬舎文庫)と「大事なことほど小声でささやく」(同)の2冊です。

 「たまちゃんのおつかい便」は、本の紹介によると、
 「過疎化と高齢化が深刻な田舎町で『買い物弱者』を救うため、 大学を中退したたまちゃんは、移動販売の『おつかい便』をはじめる。 しかし、悩みやトラブルは尽きない。フィリピン人の義母・シャーリーンとのいさかい、 救いきれない独居老人、大切な人との別れ……。 それでも、誰かを応援し、誰かに支えられ、にっこり笑顔で進んでいく。 心があったまって、泣ける、お仕事成長小説。」とあります。

 
 この頃、「買い物弱者」という言葉をよく耳にします。
 かつて活気があった商店街が、いつの間にか「シャッター通り」となり、駅周辺にあった地元スーパーが郊外型の大型スーパーにとって代わられ、地域住民、特に高齢者が食料や生活用品を購入することが困難になりつつあります。
 特に過疎化や高齢化が進んでいる地域では、ひとり暮らしのため、車などの移動手段を持たない高齢者が増え、買い物に行きたくても行けない。足代わりとなるはずのバスも、本数が少なくて利用しづらいといった実態があるようです。

 「たまちゃんのおつかい便」の主人公・たまちゃんは、ひとり暮らしをしている祖母の実状を見て、買い物弱者を救おうと「移動販売車」を思い立ちます。20歳で大学を中退し、交通事故で亡くなった母親の保険金の一部を元手として、中古の保冷車付き軽四トラックを購入。ベテランからの見習い期間を経て、本格的にスタート。

 高齢者の徒歩圏内にある集会所、駐車場などに、細かく停車場所として設定。地域ごとに巡回する曜日と時間を決め、手づくりチラシを配ってPR。軽四トラックだけに、積めるアイテム数や量には限界があります。それでも、日々の買い物に困っている老人の要望に応えながら、生鮮品や日用品を買える機会と商品を選ぶ楽しみを提供し、徐々に地域に浸透していきます。

 決してもうかる仕事ではなく、採算ラインぎりぎりの移動販売。
 しかしながら、地域に欠かせない存在になり、たまちゃんはいつの間にか、じいちゃん、ばあちゃんから孫のように愛されていきます。
 ものを売る移動販売車というより、心を届ける販売車へと変わっていきます。

 そして、たまちゃんという、ひとりの女性をとおして描かれる、家族と取り巻く人々との人間模様。平凡な日々の積み重ねですが、その中にも心の機微がやさしく書かれています。

 いつものことながら、森沢明夫さんの本には心温まるものが常に流れています。

 「たまちゃんのおつかい便」は、400ページ余りの本。
 残り100ページ足らずとなりました。
 1ページ、1ページ大切に読んでいこうと思っています。(O)

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