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高峰秀子流 暮らしの流儀

2014.12.15

(花)デンファレ、ホワイトレースフラワー(実)サンキライ(葉物)ゴールドクレスト、丸葉ルスカス

(花)デンファレ、ホワイトレースフラワー(実)サンキライ(葉物)ゴールドクレスト、丸葉ルスカス

 女優・高峰秀子さんが旅立たれて、もうじき4年目を迎えます。

 先日、北日本新聞に「オールタイム・ベスト日本映画男優・女優」が発表され、1位は男優が三船敏郎さん、女優が高峰秀子さんだった、との記事が載っていました。これは、映画雑誌「キネマ旬報」を発行するキネマ旬報社が、同誌創刊95周年を記念して、評論家や文化人ら映画に造詣の深い181人に、アンケートを実施したものです。ちなみに、11月に亡くなった高倉健さんは男優で4位、男優の現役俳優では、ただ一人役所広司さんが8位にランクインしていました。

  高峰秀子さんが1位とあり、内心嬉しく思いました。
 というのは、実は高峰秀子さんのファンだからです。
 といっても、高峰さんの主演映画で観たものは「二十四の瞳」ぐらいで、女優・高峰秀子というより、エッセイストとしての高峰秀子さん、゛にんげん・高峰秀子さん゛のファンといった方が正しいかもしれません。

  「わたしの渡世日記」(文春文庫、上下)で、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した高峰秀子さん。
 文章が秀逸で、独特のユーモアとリズム感があり、とにかくうまい。5歳から子役として活躍し、仕事が忙しかったため、学校へ行きたくとも行けず、小学校から学校と名の付くものとは、全くと言っていいほど無縁だったという高峰さん。にもかかわらず、あれだけの語彙力と博識は、読書などによる独学と聞き、本当に驚かせられます。

 高峰秀子さんは生前、知っている範囲では約25冊の本を執筆しておられます。
 最近、復刻版が出版されていますが、それでも入手困難なものもあり、私が読み終えた本は残念ながら10数冊にすぎません。その中で好きな1冊をと言われれば、迷わず「わたしの渡世日記」を選びます。

  高峰さんは、2010年12月28日に86歳で亡くなられました。
 遺作となった本は、「高峰秀子 暮らしの流儀」(新潮社、とんぼの本)です。
 この本は、脚本家であり、映画監督でもある夫・松山善三さんと晩年に養女となる作家・斎藤明美さんと、ご本人の家族3人による共著です。この本の中に、高峰さんの考え方や生き方などがエキスとして凝縮されており、生(なま)の高峰さんを知るうえで大変興味深い本といえます。

  本の中で、斎藤明美さんは養母・高峰秀子さんのことを
 「どんな名作のスクリーン上よりも、家の中で生きることを選んだひと。信条は、清潔整頓。身の丈に合った生活。台所仕事に精を出し、おいしいごはんをつくること。゛にんげん高峰秀子゛のその潔い暮らし方、静かな日々の営みに、本当の幸せ、人間の喜びがある。」(6P)と記しています。
 この短い文章に、高峰秀子さんの50代半ばでの引退後の生き方が、すべて凝縮され、言い尽くされている気がします。

  300本以上もの映画に出演した大女優・高峰秀子さん。
 引退後は、世間から極端なまでに意図的に乖離(かいり)し、愛する松山善三さんとの日々を大切にし、自分らしく生きることに徹底しています。立派な豪邸を壊して、敢えて小さな家に建て替え、家政婦さんを置くこともなく、自らの手で、日々、潔癖なまでに整理整頓し、食材を活かした料理にこだわり、料理本まで残されています。
 そして、何よりも大好きな読書三昧の静寂で、充実した時間を過ごされました。

 著書「高峰秀子 暮らしの流儀」にあるような、時代が移り変わろうとも輝きを失わない、「本物」の営み、凛とした生活を少しでも積み重ねられたらなーと思っています。(O)

PS.ブログには、花の写真を掲載しています。
   以前にもご案内したとおり、この花は農協会館1階のエントランスに飾られているもので、近くのお花
  屋さん「立山農園」さんが、毎週、創意工夫しながら活けてくださっています。
   写真をクリックするとさらに拡大して、全体がご覧になっていただけます。ぜひ、お試しください。

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