天井を見上げつつ
2016.02.29
久しぶりに風邪でダウンしました。
高熱は出なかったものの不自然な微熱が続き、頭痛もひどく、身体中の節々も痛くなりました。毛布を重ね着し、温まっているつもりでも、悪寒が走り、足先や指先も冷たいまま。電気アンカで、やっと体が温まるような状態でした。
ほぼ2日半の間、水分とゼリー、ヨーグルト以外は、ほとんど口に入りませんでした。
当然インフルエンザかと懸念を抱きましたが、掛かりつけの医師の診断によると、通常の風邪とのこと。
先日、東京へ2日間出張する機会がありました。
帰りの新幹線で、自分が座った席より2席ほど後方で、変な咳をする女性がいます。
大宮駅を通過した辺りから咳が始まり、ずっと続きます。咳から受ける感じでは、どうもマスクを着用しておられない様子。内心「困ったナー」と思いつつ、あいにく自前のマスクも持ち合わせていません。いつもなら集中するはずの読書も、今一つ身が入りません。
かれこれ、咳は30~40分近く続いていたように思います。
これが原因とは言いませんが、この日の夜から体調を崩し始めたことは事実です。
翌土曜日の午前中、耐震改修工事の関係で出勤し、さらに日曜日午後、「せめて顔だけでも」と、地域の行事に無理矢理に出席したことが致命的な結果を招くことになりました。
「たかが風邪ごときで…」「風邪など、気の持ちようだ」などと、軽く見たつもりもなかったのですが、結果的には……。
トイレ以外は起き上がれず、床に伏したまま。テレビを見る気力もなく、終日、天井ばかり見つめていました。
こんな時、ある2人の男性のことが気に掛かりました。
2人とも、私とほぼ同い年です。
A君は、昨年秋に病院から退院し、現在C市にあるアパートで独り住まい。
家庭の事情があり、実家に戻ることが出来ず、生まれて初めての独り暮らし。少し障害が残り、食事などはヘルパーさんの手助けを受けながら、何とか頑張っています。
B君は現在、東京近郊にあるD市のアパートで独り暮らし。
B君は、血液の難病に罹り、当初はD市の近くにある大学病院で治療を受けますが、故郷に戻りたいとの本人の強い希望で、C市の総合病院に転院。長い間、その総合病院で様々な治療を受けますが、その治療にも限界があり、完解に至らないまま、結局、D市へ帰ることに。
先日、連絡をとりましたら、強い薬の副作用が影響したのか、腰椎を圧迫骨折してしまったとのこと。何とか入院せずにアパートで頑張っているが、独り暮らしにも限界が近づいていると、気弱に語ります。
独り暮らしをしている際に、病気になった時の心細さ。
最近、「独居老人」という言葉をよく耳にしますが、高齢者に限らず、一人暮らしの人は確実に増えています。今後、将来に向けて、一層増加すると言われています。
普段、健康な時は「独り暮らし」を意識することは少ないのかもしれませんが、いざ病気で伏した場合、独り暮らしの心細さ、不便さが身に染みます。
という私も、学生時代に急病で床に伏した際、4畳半1間の古アパートで辛い日々を過ごした経験があります。今のように携帯電話やコンビニがある時代でもなく、誰とも連絡がとれず、友人たちも気付いてくれず、なんとか常備薬で直しました。
あの時の心細さと、夜が長かったことをよく覚えています。
幸いなことに、今回の風邪にあたり、家人達は思い思いに買い物をして来て、枕元に色々な品を届けてくれました。
しみじみと、家族のありがたさを痛感した次第です。
口に入る、入らないは別として、心遣いがとても嬉しかったです。
これが、A君やB君の場合、特に身寄りが近くにいないB君の場合は、どうなっているのかと。自ら選んだ道とはいえ、厳しい現実があります。
はたしてどのような思いをして、B君は日々天井を見つめているのかと、つい考えてしまいました。(O)