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余命3週間といわれたら、何を食べたいですか?

2016.03.08

春爛漫です。[花]ヒヤシンス(ジェネラルコーラー)、コワニー、カーネーション、スィートピー(ハッピー)、[葉]オクラレルカ、玉シダ、ゴットセファナ

春爛漫です。[花]ヒヤシンス(ジェネラルコーラー)、コワニー、カーネーション、スィートピー(ハッピー)、[葉]オクラレルカ、玉シダ、ゴットセファナ

 余命、わずか3週間といわれたら、
  あなたは、何を食べたいですか?

 このような問いかけをしている病院があります。
 大阪にある淀川キリスト教病院のホスピス・こどもホスピス病院です。
 この病院では、毎週土曜日に「リクエスト食」を実施しています。
 最近、ふと手にした、青山ゆみこさんの著書・「人生最後のご馳走」(幻冬舎)で、「リクエスト食」という言葉に初めて触れました。

 末期がんになった場合、最期の頃になると、ほとんどの人は口から食べ物を摂ることが出来ず、点滴や胃瘻などにより、延命治療を受けます。仮に口から食事を摂ることが出来たとしても、残念ながら美味しいとはいいがたい、お粥や流動食などが、病院食として出されることが、一般的なようです。
 亡き父や姉を看ていても、そのような最期の日々を迎えて行きました。

 ご存知の方も多いと思いますが、ホスピス病院とは主に末期がん患者に対し、緩和治療や終末期医療(ターミナルケア)を行う病院のことです。
 本人には、末期がんであることが告知され、本人の意思にもとづいて、最期の日まで少しでも快適に生き、安らかで尊厳に満ちた死を迎えることが出来るように、病院全体でサポートするのがホスピスです。
 このホスピスを日本で最初に始めた病院が、淀川キリスト教病院であり、当時ホスピス長だった柏木哲夫医師は、ホスピス、緩和ケアの第一人者として有名な方です。多くの著書を執筆されており、心温まる文章を書かれる方です。

 ホスピス病院では、抗がん剤などによる無理な延命治療は行われません。
 オピオイドなどによる緩和治療により、痛みのコントロールが行われ、苦痛がやわらぐ中で、残された時間を家族と過ごしたり、趣味に励んだり、その人らしく思い思いに静かな日々を過ごされるようです。

 淀川キリスト教病院のホスピス・こどもホスピス病院には、成人病棟15床、小児病棟12床が備えられているそうです。

 リクエスト食。
 この聞きなれないリクエスト食とは、病院が決めた献立ではなく、患者一人ひとりが好きなメニューを自由にリクエストできる食事のことです。

 毎週金曜日に管理栄養士がそれぞれの病室を訪ね、患者に寄り添いながら、いま食べたいもの、味付けの好み、食べたい量などの要望に、丁寧に耳を傾けます。聞き取りが終わると、希望の献立は、その料理に込められた患者さんの思いや細かなニュアンスも含めて、調理場の調理師に伝えられます。
 調理師は、すぐに食材の手配と段取りにかかります。ここの調理師は、単に料理を作る人ではありません。若い時に老舗料亭で修業し、有名なホテルの和食部門で活躍してきた、プロの料理人なのです。このような調理師が、患者一人ひとりの希望に応えて、丹精込めて異なる料理を作るわけです。もちろん和食に限らず、洋食や中華料理の要望にも応えられます。
 プラスチックの容器を使うことが多い病院食。ここでは、料理の盛り付けや器にもこだわり、食材を含めて季節感をとても大切にしています。

 延命治療を受けている時は、抗がん剤による副作用などで食欲が落ちていた患者も、緩和ケアを受けることにより、再び食欲を取り戻すことが多いようです。

 本で紹介されている、実際に患者さんが要望したリクエスト食は、天ぷら、ハイカラ洋食、お寿司、秋刀魚の塩焼き、ポタージュスープ、お好み焼き、ステーキ、芋の煮物、うどんとパイナップル、天ぷらと鰻、ウインナーピザ、すき焼きです。
 それぞれの料理に、「食」にまつわるエピソードがあり、家族の想い出や幼い頃の記憶などが凝縮されています。当然、末期がんの患者さんですので、調理師の手によって食べやすいようにと、様々な工夫が施されています。

 臨終の間際によみがえる「食」。
 1週間に1度のリクエスト食ですので、数回しか食べることが出来ないまま、亡くなられる方もおられます。それでも最期に、想い出の料理を食べられたことを大変喜ばれるそうです。

 富山県内には、県立中央病院、富山市民病院、高岡市民病院、砺波総合病院にホスピス病棟があり、厚生連高岡病院も現在準備中と聞いています。いずれ末期がんになった場合は、利用させてもらいたいと考えています。

 最後にお聞きしたいと思います。
 あなたは余命3週間といわれたら、何を食べたいですか?(O)

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