人の心に寄り添える人
2016.04.19
今話題を集めている、清水健さんの著書「112日間のママ」(小学館)を読みました。
読売テレビのアナウンサーとして、関西では知らない人がいないという清水健さん。清水さんは、月~金曜日の夕方、情報番組「かんさい情報ネットten.」のメインキャスターを務め、視聴率トップを争うほどの人気ぶりだそうです。
朝日新聞の「ひと」欄で、初めて清水健さんのことを知りました。
清水さんは、2013年6月に同じ番組でスタイリストをしていた奈緒さんと結婚します。2014年4月、妊娠が分かった直後に乳がんが見つかり、そして闘病ののち、2015年2月、結婚からわずか1年9カ月で奈緒さんが逝去。29歳の若さでした。そのとき、残された長男は生後112日……。
奈緒さんのがんは、悪性度が高く、進行性の早い乳がんだったそうです。
困難な状況にもかかわらず、奈緒さんは出産も自身の生存も諦めませんでした。傍らで付添う健さんも、夫としてできることは何か。入院先の病室で寝泊まりしながら仕事に通い、新薬治験の可能性などを求めて多くの医師を訪ねたとあります。
この本は初め、こういった本にありがちな「涙頂戴的な本か」と思っていました。
しかしながら、読み進むうちにぐいぐいと真摯に生きるお二人に惹き込まれ、一気に読み終えることが出来ました。通勤途中、電車の中で読んでいる内に涙が溢れ、もう読み進むことが出来ず、本を閉じました。
3月に購入した際には、品薄状態でしたが、現在は書店に山積みになっています。
もう詳しいことは書きません。もしよろしければ、一読してください。
最後に、心に残った健さんの言葉を書かせてもらいます。
「僕しかできないことがあるならば、僕だから伝えられることがあるならば。本当の意味で、人の痛みや悲しみがわかる、人の心に『寄り添える』ひとりの人間でいたい。心からそう思う。だから僕は伝え続けたい。その想いでカメラの前に立たせてもらっている」(175P)(O)