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小さなお客さん

2017.04.10

 

[花]ガーベラ(ローラ)、(サトリ)、(クッキーアンドクリーム)、サンダーソニア、ツィンキャンドル、ライスフラワー、[枝]アセビ、[葉]利休草

 8日、土曜日の夕方。突然、かわいいお客さんが訪ねてきました。
 迷子のワンちゃんです。

 車庫の中を掃除していたところ、隣のAさんが「○○さん、○○さん」と、急に私に話しかけて来ます。散歩の途中らしく、足元には元気いっぱいなペットのワンちゃんが……。そして、なぜか見たこともない黒色のワンちゃんも、近くで飛び跳ねています。
 Aさんいわく、「散歩していたら、知らない犬が付いてきて、どうしていいか困っています」。よく見ると、赤い首輪は付けていますが、なぜかリード(引き綱)がありません。

 

 やや小さめの黒色の柴犬か、豆柴だと思われます。
 見た感じ2~3歳ぐらいで、メス犬。余程、飼い主に可愛がられているのか、毛並みがサラサラで、とても人懐っこい犬です。嬉しそうに、じゃれています。まったく噛む素振りもなく、初めて会った私たちにも、親しげに尻尾を振っています。犬同士も、楽しげに遊んでいます。

 首輪だけ付いていて、リードが無いところをみると、どうも室内で飼われていたようです。何かの拍子に、家から飛び出してきたものと思われます。
 車が近づいてきても、まったく怖がる素振りがなく、むしろ近づこうとします。とりあえず、自宅にあったリードでつなぎました。
 このリードは、以前飼っていたわが家の柴犬、トーマスが使っていたものです。トーマスは、2年前に約18歳で亡くなりましたが、遺品として大切に残していたリードです。

 

 このワンちゃん。
 Aさんは毎日、朝晩ペットの散歩に出掛けられ、私もウォーキングの途中、さまざまなワンちゃんたちに会いますが、二人ともこのワンちゃんに心当たりがありません。

 だんだん辺りも暗くなってきます。
 飼い主の方も、きっと必死に探しておられるでしょうから、とりあえず近くの交番に届け出しようということになりました。

 買い物のため、たまたま玄関から出てきた娘も、このワンちゃんを見て大喜び。
 ちょうど、仕事から帰宅した家内も、かわいいお客さんに大はしゃぎ。二人とも、可愛がっていたトーマスのことを想い出しているようです。

 

 近くの交番へは、私が届けることになりました。
 知らない車に乗せられ、大丈夫かなと心配しましたが、何のその。後部座席の真ん中にちょこんと座り、あばれる素振りも吠える様子もありません。なぜか、慣れたものです。正直のところ、このワンちゃん。突然慣れない車に乗せられて、びっくりして粗相をしないかなーと心配していましたが、嬉しいことに杞憂に終わりました。

 

 交番には、3人の警察官がおられました。
 事情を説明している間も、ワンちゃんは交番内を自由に走り回り、お巡りさんたちに愛嬌を振りまいています。
 ワンちゃんは生きものですが、なぜか落とし物扱いとして「拾得物」になるそうです。ワンちゃんは手続き終了後、交番から警察署へと移され、3日間預かったのち、もし問い合わせがなかった場合は、保健所へ移されるとのこと。
 保健所では通常、一定の期間を過ぎると、最悪のことも考えられるが、これだけ人慣れしたワンちゃんなので、変な事にはならないのではと、説明を受けました。

 「たまたま記入する『一時預り書』の用紙が手元になく、別の交番から書類を持ってくるが、都合により午後9時以降になるので、改めてここへ来てもらいたい」とのこと。

 

 ワンちゃんとさよならして、帰宅。
 食事を終え、時間をおいて、再び9時過ぎに交番へ。
 残念ながら、もうワンちゃんはおらず、今のところ飼い主からの問い合わはないとのこと。
 用紙に記入し、警察官から「飼い主から見つかった場合、あなたの連絡先を教えてもいいか」と聞かれ、改めて飼い主からお礼を言われても面映ゆいので、ご遠慮しますと伝え、失礼しました。

 

 あれから、もう3日目。
 あのワンちゃんは、無事飼い主のもとに帰ることが出来たのでしょうか?
 いまだにあの愛くるしいドングリ眼が、まぶたに焼き付いています。
 きれいにブラッシングされた、柔らかな毛並みの感触が手元に残っています。
 何よりも、無邪気な甘えん坊のかわいい仕種が、たまらなく思い出されます。

 

 家族のなかで、しばしばあのワンちゃんのことが話題にのぼっています。
 ただいま家族揃って、軽いペットロス症候群にかかっています。(O)

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