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「皆さん、ごきげんよう。さようなら」

2020.07.14

【花】アルストロメリア(ピンク)、トルコききょう(コサージュピンク)、かすみ草(染)、ヒペリカム(ココバンブー)、【枝】ユーカリ(ポポラス)

 皆川達夫さんが、亡くなられました。
 92歳でした。

 皆川さんといえば、「音楽の泉」。
 日曜日の朝、NHKラジオ第1放送から流れてくるクラシック音楽。そして、皆川さんの抑揚のある独特の語り。もの静かで、誠実な人柄がにじみ出た話しぶりは、「音楽の泉」を単なる音楽番組ではなく、さらに味わい深いものにしていた気がします。

 3月下旬、何げなく「音楽の泉」に耳を傾けていると、放送の最後のところで、「私事で恐縮ですが、今日の放送をもって…」と、突然、皆川さんが退任の挨拶をされるではありませんか。まさに寝耳に水で、本当に驚きました。

私にとって「音楽の泉」は、皆川達夫さんそのもの。その皆川さんが、突然辞められるとお聞きし、びっくりしました。
 今から考えるとおかしいのですが、なぜか「皆川達夫さんの音楽の泉」は永遠に続くものと、かってに思っていました。

 さらに驚いたのは、皆川達夫さんが4月17日に亡くなられたこと。
 3月に、30年以上にわたってパーソナリティを務められた番組で、別れの挨拶をされた、その翌月に、まさか老衰で召天されるとは…。
 3月下旬に、元気なお声を聞いていただけに、ニュースで訃報を知り、信じられない思いでした。

 7月のある日、NHKFMラジオで、皆川達夫さんの最後の「音楽の泉」が、再放送されました。バッハの「無伴奏バイオリン・パルティータ第3番」でしたが、涙が出る思いで、聴かせていただきました。

 ラジオから皆川達夫さんの声を聞くのも、これで最後かと思うと、言うに言われぬ思いにさせられました。

 皆川さんが、いつも放送の最後に語られる言葉。
 「ここでお別れいたします。皆さん、ごきげんよう。さようなら」。
 今となっては、あの日語られたこの言葉は、皆川さんが「音楽の泉」ファンに語られた遺言だった気がします。

 私の心には、今も皆川達夫さんの言葉が響いています。
 これからも、皆川達夫さんのあの声を忘れることはないと思います。

 皆川達夫先生、ありがとうございました。(O)

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