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また、ひぐらしが鳴く季節となりました。

2014.08.18

また、ひぐらしが鳴く季節となりました。
ひぐらしの声を聞くと、小学校時代の夏休みを想い出します。

 もう、45年ほど前に閉校となった山あいのわが母校26.08.18.
同級生は、男子7名、女子11名のわずか18名。皆、大変仲が良く、1年生からずっと一緒。名前を苗字で呼ぶことはなく、○○君、○○ちゃんと、互いに下の名前で呼び合ったものです。還暦間近となった今も、全員の下の名前が自然に口から出てきます。
全校生徒は、百人足らず。作家・壺井栄の「二十四の瞳」に出てくる「岬の分教場」ではありませんが、木造の小さな小学校でした。50メートル走の測定の時は、大変です。なんといっても、グランドの長辺だけでは短いため、グランドを対角線上に走り、なおも足りなくて、相撲場の土俵の上を駆け抜けるのですから。

 夏休みの一番の楽しみは、やはり水泳。
もちろん、その当時のことですから、プールなどありません。地元の川が、私達の水泳の場でした。浅瀬があり、深みがあり、急流や岩場があり、まさに変化に満ちた自然の中で、川遊びを満喫したものです。河川改修がされる前でしたので、鯉やフナ、ナマズなど、様々な川魚がいました。夕方水遊び疲れて、並んで帰る時に、どこからとも無く聞こえてきたのが、ひぐらしの声でした。
「カナカナカナ」と鳴く声は、なぜか物悲しく、哀愁に満ちていました。夕焼けや入道雲とともに、小学生の私の心に印象深く残りました。

 その当時は、声の主が「ひぐらし」とは知りませんでした。ひぐらしという名前を知ったのは、ずっと後のように思います。今でも、ひぐらしの鳴き声が好きで、You Tube(ユー チューブ)からダウンロードして、読書しながら聞いています。
NHKのラジオ番組「音の風景」ではありませんが、皆さんにも自分の心の中にいつまでも響く、音の風景ってありませんか。

 詩人で書家の相田みつをさんが、ひぐらしに関する詩を書いておられます。
ご存知かもしれませんが、ご紹介します。(O)

 「ひぐらしの声」

 ああ 今年も
ひぐらしが鳴き出した。

ひぐらしの声は
若くして戦争で死んだ
二人のあんちゃんの声だ。
そして、
二人のあんちゃんの名を
死ぬまで呼び続けていた
悲しい母の声だ
そしてまた
二人のあんちゃんのことには
ひとこともふれず
黙って死んでいった
さびしい父の声だ

 ああ 今年も
ひぐらしが鳴き出した。

            みつを

 

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