さり気無いひとこと
2014.08.26
「農協会館は、年数が経っている割にはきれいだね」
ありがたいことに、時々うれしい言葉を掛けてくださる方がいます。社交辞令かもしれませんが、このようなお言葉をいただくと、正直うれしいです。
この会館は、昭和55年3月に竣工しましたので、人間でいうと満34歳。
老朽化しているにもかかわらず、「きれいだね」と言っていただける要因の1つは、清掃業務を委託している北栄産業のスタッフの努力の賜物といえます。
清掃業務は、入居団体の通常業務が最優先ですから、日中の時間帯以外に、早朝や土日などイレギュラーな時間にも業務が及びます。人目に付きにくく、地味な仕事で、努力の割には報われることが少ない仕事ではないでしょうか。でもなぜか、手抜きすると、すぐにクレームがくるのも清掃業務の宿命です。
私は東京での学生時代、様々なアルバイトを経験しました。一番長くバイトしたのは、掃除でした。仕事先は、大学から徒歩5分にある健康保険病院。入院施設はなく、検査中心の病院で、勤務時間は午後5時30分から7時まで。約40年前で、当時としては割りがよく、1時間半で1,100円。大学の最終講義終了後でも間に合うため、2年生から4年の就職活動前まで、毎日続けました。ゴミ集めと灰皿拭き、床掃きなどの軽作業ですが、時間制限があり、広いフロアを走り回り、夏場はもう汗びっしょり。たかがアルバイトですが、自分なりにプライドを持って、そのフロアを担当したつもりです。
今から思うと、病院でアルバイトした2年数カ月の中で、医師や看護師、事務の方々から、「お疲れさん」とか、「ご苦労さん」といった言葉を掛けられたことが一度も無かったように思います。別に、ねぎらいの言葉が欲しかった分けではありません。実際、部外者であるバイト学生にいちいち声を掛ける必要もなかったと思います。
改めて、この社会はいかに多くの方によって支えられていることかを教えてもらっています。人目に触れないところで頑張っている人が、沢山います。公衆トイレをきれいにしてくださっている人、無人駅で花を活けてくださる人など、普段気付かないところで、多くの方が労してくださっています。その方々に、「ありがとうございます」とか、「ご苦労様です」とか、ちょっとした言葉や感謝の言葉、そして自然なお礼の仕草ができたらと常々思っています。
心から自然に出てくる、さり気無いひとこと、態度が、とても大切になっている時と思うからです。(O)