雲外蒼天(うんがいそうてん)
2015.04.20
ただ今、時代小説作家・高田郁さんの本にハマっています。
高田郁という作家を知ったのは、今年2月。
失礼ながら、郁(かおる)という漢字が読めず、女性であることがわかったのも、しばらく経ってから。
新聞の書評で、著書「ふるさと銀河線 軌道春秋」(双葉文庫)を称賛する評論家がいて、さっそく購読。期待にたがわず、大変おもしろくて、続けて「晴れときどき涙雨」(幻冬舎文庫)を購入。以来、すっかり高田さんの文体に魅せられ、「次も」「さらに」と進み、4月に入ってから、「みをつくし料理帖」シリーズ(ハルキ文庫)全10巻にチャレンジ中。
「みをつくし料理帖」は、
「大坂で少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身となった18歳の女性が、江戸・神田の料理屋『つる屋』の調理場を任され、大坂と江戸の味の違いなどに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねていく」小説です。
当然ながら料理を題材とした本ですので、季節に合った旬の食材や趣向を凝らした料理が、数多く登場します。「食」を通して、江戸時代の生活習慣や食文化に触れられるだけでも楽しいのですが、繰り広げられる人情話に、ついつい引き込まれてしまいます。
そこには、山本周五郎さんや山本一力さんなど、男性作家が描く江戸とは趣(おもむき)の異なった、やさしく、温かみのある江戸が、女性目線で息づいています。
主人公の澪(みお)は、一人の料理人として、お客さんに少しでも美味しく食べてほしい、食べることで喜んでもらいたいと、限られた食材の中で、様々な新しい料理を考案しながら料理を作り続けます。
澪の歩みを象徴するたとえとして、たびたび「雲外蒼天(うんがいそうてん)」という言葉が、本の中で登場します。
雲外蒼天とは、「雲外に蒼天ありという。暗雲の外に出れば、蒼穹(あおぞら)は広く、あたたかい。雲は、さまざまな障害や悩みの意。困難を乗り越え、努力して克服すれば、快い青空が望めるという意味。絶望してはいけないという激励のことば」と、ネットにあります。
いい言葉です。
大切に心にしまっておこうと思います。
現在、折り返し地点を過ぎ、6巻目「心星ひとつ」まで読み進んでいます。
今月末までには、全巻読破し、なんとかゴール出来そうです。
はたして、ストーリーはどのように展開するのか?
このワクワク感、高揚感がたまりません。
まさに、私の至福の時です(O)