「おむすび」に秘められた力
2015.05.18
日曜日の早朝、大きな花火が一発上がりました。
「何かなー」と思っていると、地元小学校の運動会の合図だったようです。
もうそういった年代の子供がいない身にとっては、なかなか学校行事についていけません。
運動会といえば、父親にとっては場所取りが、母親にとってはおいしい弁当作りが大きな役割でした。
たかが場所取りですが、少しでも子供たちの活躍ぶりを見たいと、朝早くから良い場所取りに出掛けたものです。幼稚園、小学校と続きましたが、かなり早い時間から出掛けたつもりでも、既に多くのランチマットで敷いてあり、驚いたものです。
家内も、いつもにも増して、弁当作りに力が入っていたようです。
子供たちの好物はもちろんのこと、到底食べ切れないほどの量を早朝から頑張って作っていました。子供たち以上に、家内の方がウキウキと嬉しそうでした。
運動会の休み時間に、青空のもと、皆で食べたお弁当の美味しかったこと。
おかずもさることながら、おむすびの美味しかったこと。
木陰の下で、さわやかな風を受けながら、食べるおむすびは格別でした。
おむすびといえば、「おむすび」を通して、「食」をとても大切にしている人がいます。
青森県在住の佐藤初女(はつめ)さんです。
93歳になられた現在も、全国各地で講演しておられると、お聞きしています。
富山県にも、2010年8月に魚津市「森のゆめ市民大学」の講師として、来県されています。
「森のイスキア」「おむすびの人」として、有名な佐藤初女さん。
「食はいのち」と語り、毎日の食生活の大切さを訴えておられます。
もちろん、佐藤さんに直接お会いしたことはありません。
佐藤さんの事を初めて知ったのは、確か10年程前だったと思います。叶わない夢ですが、以前から「森のイスキア」におられる、佐藤初女さんを訪問したいという強い願望があります。
「いのちの森の台所」(集英社文庫)、「森のイスキアで話したこと」(創元社)、「いのちを養う食」(講談社)など、今までに著書7~8冊を読ませてもらいましたが、いつも文脈にスーッと入り込めるから不思議です。
森のイスキアには、全国各地から悩みを抱えた人や佐藤さんを慕う人達が訪ねています。
森のイスキアでは、俗にいう贅沢な料理でもてなくことはないそうです。地元でとれる山菜や、旬の野菜や魚介類、季節にあった食物、なるべく素材の持つ力を活かした手作り料理でもてなすそうです。
もちろん、佐藤初女さん自ら握るおむすびが、メインであることには変わりがありません。たかが「おむすび」が……と、思われることでしょうが、多くの方が、このおむすびに癒し慰められ、いつの間にか解決の道を見出して帰られるというから不思議です。
日々の忙しさの中で、何気なく食事をしています。
意外と「食」というものを、ないがしろにしている気がします。
「おむすび」ひとつで、人生が変わるという佐藤初女さん。
私も、そんな「おむすび」を握れるものになりたいものです。(O)