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響きわたる天使の声

2015.06.02

(花)ひまわり、ゆり(枝)どうだんつつじ(葉物)ニューサイ、ゴットセファナ

(花)ひまわり、ゆり(枝)どうだんつつじ(葉物)ニューサイ、ゴットセファナ

 天使の声が、ホール全体に響きわたります。

 高岡文化ホールで開かれた、シュトゥッガルト室内合唱団のコンサート。
 無伴奏の合唱を聞くのは、今回が初めて。ピアノ伴奏はなく、男女23名による肉声だけの素晴らしいハーモニーが、会場全体を包み込みます。
 CDで、グレゴリア聖歌など合唱曲を聞くことはあっても、生で合唱を聞く機会はなかなかありません。研ぎ澄まされた世界トップレベルの合唱を聴き、ここまで深みがあり、清らかなものかと驚かされました。
 オール「ア・カペラ」のプログラムに、すっかり魅了されました。

  シュトゥッガルト室内合唱団は、「現代最高の合唱団として、世界中の主要な音楽祭に招かれ、きわめて高水準な演奏を披露し、国際的な名声を得ています。長年にわたり、その深い精神性のもと歌声を響かせてきた世界最高峰の合唱団であり、重厚で透明な声が奏でる色彩のハーモニーが堪能できます」とあります。

 プログラムは、ミサ曲やラフマニノフ、メンデルスゾーンなどの合唱曲。
 演奏曲は、初めて聞く曲ばかり。唯一知っていた曲は、グリーグの組曲ペール・ギュントの有名な1曲、「ソルヴェングの歌」のみ。
 でも、知っている曲とか、知らない曲とか、全く関係なかったようです。23名の美声が生み出す清らかなハーモニーに、スーッと引き込まれていきました。

 コンサートでは珍しく、合唱曲の歌詞対訳が配られました。
 左側に原文が、右側に日本語訳が記されています。原文は、多くがドイツ語。一部、見慣れないロシア語とラテン語もあったようです。(もちろん、私ごときが分かるはずがありません。近くの男性からの仄聞です)大学時代に2年間学んだドイツ語。当然、今頃覚えているはずもありません。でも、不思議なことに、時々知っている単語が出てきて、意味が分からないなりに、字面を追うことが出来ました。

 前席に、60代後半らしきご夫妻が座っておられました。
 コンサートが始まってしばらく経つと、奥様が気持ちよさそうに、舟をこぎ始められます。隣のダンナ様が周りを気にしてか、肘で軽くチョンチョン。奥様の体が、一瞬ピタッと止まります。曲が進むとともに、余程お疲れなのか、再びゆっくりと舟をこぎ始められます。
 休憩時間に、和やかに会話していたご夫妻。
 後半の部が始まるとともに、またもや奥様のお舟が登場。そして、ダンナ様のチョンチョンも再登場。前の席だけに、否が応でもお二人の遣り取りが視線に入ってきます。
 結構長い間、仲睦まじく「お舟」と「チョンチョン」を続いておられました。

  コンサートを通じて、目に見えない何か温かい、大きなものに抱かれている不思議な感覚に陥りました。
 もし天使の声というものがあるなら、こういったものかと思いながら、響きに浸っていました。

  演奏会が終わって家路につく時、外の風がいっそう爽やかに感じられました。(O)

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