心に響くメロディー
2016.05.17
5日、作曲家・富田勲さんが亡くなられました。
富田勲さんは、生前、数多くの名曲を残されました。
一番心に残っている曲をと聞かれれば、迷うことなく「新日本紀行」のテーマ曲をあげます。
NHK総合テレビで放送されていた「新日本紀行」。
日本各地の風土と人間模様をあらわした、ドキュメント番組でした。テーマ曲として、富田勲さんが作曲された情緒豊かなメロディーが流れていました。35年余りたった今も、この曲を耳にするたびに、何とも言えぬ哀愁を感じます。
長い間、国民に愛され続けて来たこの曲。懐かしい昭和の香りが漂い、日本の原風景を表わす代表的な曲のひとつと思います。
この「新日本紀行」が、宿題となっていた時期がありました。
小学校5年生の時です。
その時の担任は、30代前半のA先生。教育熱心で、スポーツ好きな男性の先生でした。担任を外れた後も、中学入学時に、卒業時にと、節目あるごとに心のこもった手書きのハガキを届けてくださる、そのような先生でした。
この先生が出したユニークな宿題が、「新日本紀行」の感想文。
毎週放送される「新日本紀行」を見て、感じたこと、思ったことを自由に書き、翌日に提出するというものです。何を書いても良いのですが、わずか30分間の番組とはいえ、小学5年生にとっては難解な内容の時もあり、結構しんどい宿題だった記憶があります。
当然ながら今となっては、何を書いていたのか、まったく覚えていません。
ただ、思わぬ効果がありました。
地理が好きになったということです。どちらかというと、以前から社会科は得意科目でしたが、いっそう地理に興味を抱くようになりました。中学、高校と進むにつれて、地理への関心はさらに高まり、大学受験の際には、当然のように「地理B」を選択しました。受験したどの大学の入学試験も、地理だけは確かな手応えがあり、高得点をキープ出来たと自負しています。
富田勲さんの作曲ではありませんが、もうひとつ今も心に響いている曲があります。
NHKラジオ「昼のいこい」のテーマ曲です。
お昼の12時台に流れる、この番組。長寿番組として有名ですが、作曲は古関裕而さん。
各家庭に電話が普及しておらず、農協の有線放送が電話の替わりをしていた時代。
これかれ、今から半世紀以上も前のことになりますが、わが家にも茶の間の棚の上に、有線放送の黒い四角い箱がおいてありました。
幼い頃、近所の子供たちと外で思いっきり遊んできた後、お昼にお腹を空かして我が家に戻った時、茶の間の有線放送からこのメロディーがよく流れて来たものです。幼い子供なりに、このメロディーには感じるものがありました。
今もNHKラジオからこの曲が流れて来ると、言うに言えない、心に鳴り響くものがあります。
人の心の風景を呼び覚ます音。
そして、日本の原風景を呼び起こす懐かしい音楽。
誰にでも、そのような音、音楽というものがあるのではないでしょうか。(O)