クロマチックハーモニカ
2016.07.26
先日、珍しいコンサートに行って来ました。
ハーモニカのコンサートです。
年間10回程度、クラシックを中心に様々なジャンルのコンサートに出掛けますが、ハーモニカの演奏会は生まれて初めて。
南里沙クロマチックハーモニカコンサート。
高岡文化ホールで開かれた、ワンコインコンサート。ランチタイムに約1時間、500円で一流アーティストの演奏を楽しめるというコンサートです。
クロマチックハーモニカ奏者の南里沙(りさ)さん。
3歳でピアノ、12歳でオーボエを始め、神戸女学院大学音楽科オーボエ専攻卒業。大学在学中にクロマチックハーモニカに出会い、音色に魅せられて研鑽を積む。国内・国際コンクールで数々の優勝を果たし、国内外の交響楽団とも共演。クロマチックハーモニカの美しい音色と、テクニックの高さ、音楽のジャンルを超越した活動で注目を集める、とあります。
ハーモニカと聞くと、小学校の時、音楽の授業で習ったハーモニカのイメージしかありません。
あのような楽器で、どのような演奏会になるのかと興味津々でしたが、南さんが使用した楽器はクロマチックハーモニカ。
南さんによると、クロマチックとは「半音階」という意味で、クロマッチハーモニカは、たった16個の穴と横にあるレバーの操作だけで、4オクターブ+2音を出すことができ、ピアノの白鍵黒鍵の音がすべて鳴らせるとのこと。
曲目は、「リベルタンゴ」「愛燦々」「ベガの涙」など、8曲。
演歌、タンゴ、クラシックなど、幅広い年代層の方が楽しめるようにと、工夫した選曲となっていました。伴奏のギターリストの方とも、うまくマッチしていて、失礼ながら予想以上に楽しめたコンサートでした。
心に残ったのは、「ガブリエルのオーボエ」とアンコール曲「上を向いて歩こう」の2曲。
通常のコンサートの場合、チケットの売行き状況で、ある程度来場者数が見込めます。
ワンコインコンサートだと、チケットを事前販売していないだけに、どれだけの来場者があるか、当日、開演してみないとわかりません。
それだけに、南里沙さんも「大きなホールに、もし5~6人のお客様だけだったらどうしよう」と、開演直前まで心配されていたようですが、開演時にステージ上から多くの来場者を見てホッとした、と冒頭で語っておられました。
そのようなこともあったためか、南里沙さんの熱のこもった演奏。そして、曲と曲の合い間にある軽妙で、楽しい語り口。これらが、うまくミックスし合って、アッという間の約1時間でした。
ハーモニカという小さな楽器に、これだけの奥行きと深みが出せるのかと、正直驚かされました。
今までまったく存在すら知らなかった、「クロマッチハーモニカ」という楽器。南里沙さんのおかげで、新たな分野を教えていただきました。
ただ一方で、一つの音楽としての捉えた時、最後まで何か物足りなさを感じたことも事実です。
オーボエ奏者からクロマチックハーモニカ奏者という、あえてマイナーな道を選んだ南里沙さん。今後、一層のご活躍を期待したいと思います。
次回は、富山県での3回目コンサートとして、途中、休憩時間をはさむ通常のスタイルで、ゆっくりと聴かせてもらいたいです。(O)