盗まれたソーラーバッテリー
2016.09.13
何ともやるせない思いをしています。
イノシシやシカなどがあちこちで出没し、被害が発生しているため、集落の各所に電気柵を設置していますが、先週ソーラーバッテリーが1台盗まれました。
今年は小生、順番で生産組合長があたり、農業に関わる世話をさせてもらっています。イノシシ対策もその一つで、近年、年を重ねるごとにイノシシによる被害がひどくなり、集落あげて取り組んできただけに、今回はガックリです。
実は昨年も、同じ場所でソーラーバッテリーが盗まれました。
三井アウトレットパーク北陸に向かう国道沿いにある、山あいの圃場。
国道8号線から直線距離にして、200メートルぐらいでしょうか。
9月6日に、その地域一帯のコシヒカリの収穫を終え、7日にソーラーバッテリーが見つからないようにと、素人目にはわかりにくい橋のたもとに移し替えたにもかかわらず、7日夜から8日の朝型にかけて盗難にあいました。昨年の盗難の件があるだけに、対策を打ったつもりでしたが、ダメでした。
しかもこの日は、夜半から朝までの間、かなり雨が降り続いていて、足場も相当悪かったはずなのに、やられました。
なぜイノシシが水田に出るのか詳しくは知りませんが、収穫時期になると、活発に歩き廻ります。イノシシが水田に入り、倒れた稲はイノシシの臭いが付くため、通常の米として販売することは出来ません。春先から丹精込めて栽培してきた水稲が、収穫直前に商品価値を無くすわけです。
それと困るのは、イノシシが水田の土手を鼻先や足などで壊すこと。
あっという間に、土手を壊したうえに、時には大きな穴を開けていく時もあります。土手が壊れると、水管理が出来なくなるので、機械を使って修復する必要があります。
イノシシ防止用電気柵は、集落全体で12カ所に設置してあります。集落にある水田のうち、90%近くを電気柵で守っていることになります。
電気柵や電気コード、ソーラーバッテリー、電池式バッテリーなどは、基本的に地元市役所から貸与されます。被害の発生状況にもとづき、市に申請をあげ、認可された地域から順に支給されます。
今年も、昨年新たに被害が発生した4カ所の電気柵セットと、捕獲用にと檻(おり)1基が支給され、集落の全員で設置しました。
集落にあるソーラーバッテリー4基と電池式バッテリー8基のうちの、今回、ソーラーバッテリー1基が盗まれたわけです。電池式バッテリーは、1基に乾電池単1を6本入れますが、寿命があるため交換が必要です。集落では、乾電池代だけで年間約2万円を負担しています。
犯人は、そんなことも知っていて、ソーラーバッテリーを盗んだものと思われます。ちなみに、このソーラーバッテリーは購入すると、約6万円するそうです。
地元の駐在所に盗難届を出し、事情聴取や現場検証、写真撮りを終え、市農林課にも報告しました。後日、所定の書類を提出してもらいたいとのことです。
昨年の盗難の際には、市から中古のソーラーバッテリーが代わりに支給されましたが、今回は同一地域で2回目ということもあり、「集落で対応して欲しい」とのことでした。
集落では、昨年と同一犯人による犯行ではないか、と考えています。
このような特殊なバッテリー。おそらく我々の集落と同様に、イノシシなど、鳥獣被害対策に困っている地域の人が盗んだものと思われます。被害状況をきちんと報告し、申請手続きをすれば、他人のものを盗まなくても、行政から電気柵など資材一式が届くはずなのに……。
犯人は、自分の畑に使用するつもりだったのでしょうか?
11日のうちに、ソーラーバッテリーを民家前に写し、電池式バッテリーを中山間地に移すなど、出来る範囲の対策を打ちました。本来ならイノシシの多い中山間地にこそ、電流の強いソーラーバッテリーを置きたいところなのですが…。
台風被害や秋の長雨などの影響もなく、順調に収穫が進んでいます。今までは、秋の刈り入れが終了したら、農作業が無事終わったとホッとしたものです。
ところが、現在は違います。
圃場に稲がなくなっても、電気柵を設置してある所では、イノシシが入らないようにと電気線の下にある草を刈る必要があります。草が伸びて、電気線に触れると漏電して電気が流れなくなり、イノシシが圃場に入るからです。
さすがに寒くなると草が伸びにくくなりますが、それでも集落では11月19日まで電気柵を維持することにしています。
もうしばらく、イノシシとの格闘が続きます。
それにしても、どうしてあのソーラーバッテリーが盗まれたのでしょうか……。
なんとも、やり場の無い悶々とした思いをしています。(O)