小さな出会い
2017.02.20
最近、ちょっと嬉しいことがありました
画家・吉田博(ひろし)さんを知ったことです。
先日、NHK・Eテレの「日曜美術館」で、初めてこの人の名前を知りました。
それまで、吉田博さんの存在自体、まったく知りませんでした。美術品や工芸品に少し興味があり、時々見ている「日曜美術館」。吉田博さんの特集が、たまたま組まれていました。
イギリスのダイアナ妃も、大変好きだったという吉田博さんの風景画。自室の壁に飾るほど、気に入っておられたとのこと。吉田博さんの絵画はどちらかというと、日本国内ではあまり評価されておらず、むしろ海外での知名度の方が高かったようです。
ウィキペディアによると、吉田さんを「日本の洋画家、版画家。自然と写実そして詩情を重視した作風で、明治、大正、昭和にかけて風景画家の第一人者として活躍した」と紹介しています。
もっと吉田さんのことが知りたくて、さっそく「吉田博 全木版画集」(阿部出版編集・発行)と安永幸一著「山と水の画家 吉田博」(弦書房)の2冊の本を買い求めました。
以来、時々手元にある「吉田博 全木版画集」をながめています。
もちろん、現物に勝るものはありません。それでも、画集を通して、詩情あふれる画風の一端を味わうことができます。テレビで紹介されていた代表的な風景画も、改めて画集で確認することができ、至福の時を味わっています。
初めて知ったのですが、同じ木版画の原版を使いつつも、巧みに色彩や刷り方を変えることによって、朝、昼、夕方など、まるで趣の異なる風景画に仕上げることができます。
これこそが、木版画ならではの神髄、真骨頂なのかもしれません。
同じ絵画を見ていても、感じ方、受け止め方は当然、皆異なると思います。
吉田博さんの木版画も同様で、私は少なからぬ感動を受け、今回の小さな出会いをとても嬉しく思っています。しかしながら、何も感じない方もおられるかも知れません。それはそれで良いと思います。受け止め方は、人さまざまですから…。
つくづく自分が知っていることなど、ごく微々たるものだなーと思っています。
それだけに、今回のような出会いは、とても新鮮に感じられ、素直に嬉しくなります。これからも、魂に響くような新しい邂逅(かいこう)を求めていきたいものです。本なり、音楽なり、美術工芸品なり、小さくともしっかりとアンテナを立て、自分なりの感性を大切にいきたいと思います。
「生誕140年 吉田博展」が、4月29日から長野県の上田市立美術館で開催されます。自分の目で、吉田博さんの木版画を鑑賞できることを、今から楽しみにしています。(O)