「本日 小田日和」
2015.02.16
小田和正のコンサートに行ってきました。
福井県鯖江、サンドーム福井で行われた小田さんのコンサート。
「KAZUMASA ODA TOUR 2014~2015」。「本日 小田日和」と銘打って、開かれたコンサート。福井でのコンサートは、4年振りとのこと。
年に10回前後、様々なジャンルのコンサートに出掛けていますが、多くはクラシック音楽。いつも静謐(せいひつ)で、咳払い、ひとつしづらいような演奏会がほとんど。
今回のような熱狂的なライブは、生まれて初めて。もちろん、1万人クラスのドームコンサートも初体験。
幅広い年代から愛され、根強い人気がある小田さん。チケットは、なかなか入手困難と言われ、通常は発売、即完売の状態。淡い希望はありますが、自分には無縁と思っていました。
ところが、連日、テレビから小田さんのコンサートCMが流れてきます。
家人から「行こう」と誘われます。「もう、今頃無いよ」と、つれない返事。それでも、たびたび誘われます。
もうこれ以上、家人の気分を害して、明日から弁当がなくなると大変です。
駄目もとで、翌日TELすると、呆気ないほど簡単にチケット2枚取れました。
コンサート当日は、降雪。
福井県内で、8号線で約200台がストップ。高速道路も、一部通行止めと最悪の状況。
なぜか不思議と、何かやろうとすると、いつも悪天候。
約3時間掛けて、会場の駐車場に着いたのは午後3時半。開演のちょうど3時間前。それでも、もうかなりの台数の車が止まっていて、ビックリ。冬空の中、エンジンを掛けて、ひたすら待つのみ。
コンサートは、「ただ、素晴らしい」のひとこと。
67歳という小田さん。どこにあれだけのパワーがあるのかと、驚くのみ。広いドームを縦横無尽に、上へ下へと、隅々まで走り回り、約2時間半歌いっぱなし。まったく衰えを感じませんでした。
「キラキラ」「愛を止めないで」「言葉にできない」「woh woh」「ラブストリーは突然に」「さよなら」「たしかなこと」など、馴染み深いベストアルバムのほか、最新アルバムに入っている「愛になる」「この街」「二人」なども熱唱。
さすがにラストの、2回目のアンコールを歌う頃には、やや擦れ声でしたが、最後までファンを大切にしようという小田さんの熱い思いは十分に伝わってきました。
特別熱心なファンではありませんが、オフコース時代からずっと聞いています。独特の優しく、透き通った高音の小田さん。不思議な透明感に引き込まれます。
歌詞も、心のひだに秘められた想いを、そっと語り掛けるものが多く、心に染み入ります。
MC(曲と曲の間のおしゃべり)は、「今一つ」と謙遜する小田さん。でも、飾らない、素朴な人柄が滲み出ていて、おしゃべりも十分楽しめました。
ただ、困ったことがひとつ。
右隣に50代前半と思(おぼ)しき女性が座られましたが、小田さんの熱心なファンなのでしょう。飛び跳ねるは、大きく手を振るは、体全体でノリまくっています。体全体でリズムをとること自体、会場全体とマッチしていて構わないのですが、困るのは知っている曲を大きな声で歌われること。こちらは、小田さんの曲をゆっくり聞きたいのに、なぜか右耳からは女性の声が……。マー、綺麗な声だったからいいか……。
「題名のない音楽会」の司会者で、指揮者の佐渡裕さんが、著書「僕はいかにして 指揮者になったか」(新潮文庫)の中で、「人間の声に勝る楽器はない」といった、内容のことを書いておられました。
音楽が好きで、ほとんど毎日、何らかの音楽を聴いています。
この頃は、サラ・ブライトマン、エンヤ、セリーヌ・ディオン、ケルティック・ウーマン、ヘイリー・ウェステンラ、キャサリン・ジェンキンス、セシル、シャルロット・チャーチなど、なぜか女性ボーカルに魅せられ、癒されています。
もちろん楽器による音楽も素晴らしいですが、人の声にはどこか惹きつけられる響きがあります。
小田和正さんのコンサート終了後、70代後半のおばあちゃんが杖を突きながら、お孫さんらしい若い女性に手を引かれながら、ゆっくり、ゆっくり出口に歩いている姿が見られました。
おばあちゃんの顔に浮かんだ微笑みそのものが、このコンサートを象徴していたように感じられました。
駐車場から道路に出るだけで、約1時間。
無事帰宅したのは、午前1時ジャスト。
なお、点数大幅アップにつき、当分は弁当を作ってもらえそうです。(O)