心のノートを真っ白に
2015.12.24
年の瀬も押し迫り、早いものでもうしばらくで新しい年を迎えようとしています。
年を追うごとに時間の経つのが早く感じられ、1年そのものが短くなっている気がします。
「ジャネーの法則」という法則があります。
ご存知の方も多いと思います。
時間の長さは、年齢に反比例するという法則です。フランス人のポール・ジャネーが考えたといわれています。
50歳の人にとっての1年の長さは、人生の50分の1。
5歳の人にとっての1年の長さは、人生の5分の1。
要するに「1年というものは、自分の年齢分の1」というものです。
年を取ればとるほど分母の数字が増えていくわけですから、1年はだんだん短く感じられ、早く過ぎ去るという法則です。なんとなく、納得してしまいます。
この1年間を振り返ってみると、それなりに色々とありました。
一番大きな出来事は、何といっても家内の病気、入院、手術、そしてリハビリ。
無事退院し、3カ月以上経過した現在も、通院、リハビリの日々が続いています。一時はどうなるものかと心配しましたが、徐々にとはいえ回復しつつあり、喜んでいます。元どおりの体になるには、もうしばらく時間を要するようです。
といいつつも、仕事が多忙を極め、不自由な体にもかかわらず、しばしば夜遅くまで勤務しています。
あたかも健康な日々が当たり前かのように考えていた自分。
家族という歯車が、一つひとつ順調に回っているときは、歯車が回っていることすら気付かないものです。ひとたび、どれか1つでも歯車が狂い出すと、全体の動きが鈍くなり、新たに歯車を回すのには大きな力が必要になることを思い知らされました。
ちょうどそのような頃、疲労が重なったせいもあったのか、自らも体調をくずし、健康の大切さを一層思わされました。
もうじき還暦を迎える身。もう以前のように若くはないことを、そして自信があったはずの体力も確実に衰えていることを痛感させられた年でもありました。
愛犬トーマスが亡くなったことは、以前ブログに書かせてもらいました。
8月上旬に約18歳という、犬としては長寿ともいうべき生涯を終えたトーマス。いずれ、よく遊んだ庭の一角に埋めてやるつもりですが、なかなか踏ん切りがつかず、いまだにペット用の骨壺袋に入れたまま、玄関わきに置いています。そこは、いつもトーマスが生活していた場所。台の上に小さな座布団を敷き、休ませています。
今も家族が、「行ってきまーす」「トーマス、ただいま」と、声をかけています。
土に戻してやるのは、もうしばらく後になりそうです。
今年は9回、コンサートに行きました。
小田和正からクラシックまで、ジャンルは様々。残念ながら山下洋輔ジャズコンサートのように、私にとっては期待外れのコンサートもありました。
逆に印象に残ったのは、12月にあった弦楽四重奏団クァルテット・エクセルシオ。
素晴らしい弦の響きに酔いしれました。特にドヴォルザークの弦楽四重奏曲「アメリカ」は、最高でした。この曲は、たびたびCDやラジオでも耳にするポピュラーな曲ですが、生演奏で聞くのは初めて。よく知っている曲だけに、リラックスしつつも、集中して聞くことが出来ました。
特に大友肇さんのチェロの音色が、心に響きました。
「いつも心のノートを真っ白にしておきたい」
大好きなエッセイスト・高峰秀子さんの言葉です。
この1年を振り返った時、自分の心の色はどうだったのでしょうか?
「真っ白」とは程遠い状態だった気がします。黒とは異なる、何かドロドロしたものが蠢いている「心の色」だったようです。他人には言葉や態度で、なんとでも誤魔化すことが出来たかもしれません。しかしながら、ほかでもない自分の心を偽ることはできません。もう一人の自分は、冷静に自分を見ています。
今年も、残りわずか。
来年こそは、いつもとは言えなくとも、少しは心の白さを保ちたいものです。わずかずつであっても、心温まるものを心の板に書き記す一年でありたいと思います。
少し早いですが、良いお年をお迎えください。(O)