[花]グリーンベル、オーニソガラム(ダビウム)、ラナンキュラス、マーガレット、ホワイトレースフラワー、スイートピー[葉]レモンリーフ
久しぶりに美術館と博物館のハシゴをしてきました。
東京にある向井潤吉アトリエ館と東京国立近代美術館工芸館、東京国立博物館平成館の3館です。
向井潤吉アトリエ館は、上京するたびに訪ねています。
向井潤吉さんは、日本古来の伝統的な古民家を求めて、全国各地を旅し、油画や水彩画に残した画家です。いつもこのアトリエ館に来ると、我が家に帰ったようなやすらぎとくつろぎを覚えます。ここで勤務するスタッフの皆さんも、気さくな方ばかりで、他の美術館にありがちな「ツーン」と澄ましたような素振りが全くありません。
展示されている絵画を丁寧に一点ずつ鑑賞していくうちに、いつの間にか四季折々の美しい景色と郷愁に引き込まれていきます。向井さんの画を観ていると、一度も足を運んだことのない所にもかかわらず、なぜか懐かしい思いにさせられるから不思議です。
今回の企画展は、「西日本紀行」。
紀州や奈良、京都、倉敷など、西日本各地を題材とした約40点が展示されていました。
初めて鑑賞する絵画がかなりあり、画に添えられた向井さん自身が書かれた紀行文とともに十分に堪能できました。
普段は、一人で鑑賞することが多い、このアトリエ館。今回は7~8人が来館しておられました。顔ぶれを見ると、ほとんど夫婦連れや友人仲間で、比較的年配者が多いのは、この美術館の特徴なのでしょうか。
先日、NHKのEテレ「日曜美術館」で、向井潤吉さんの特集が放映されました。
再放送を含め、見せてもらいましたが、向井さんの新たな側面を知ることが出来、とても嬉しかったです。改めて、向井潤吉さんが好きになりました。
二つ目は、東京国立近代美術館工芸館。初めて、この工芸館に足を運びました。
皇居近くの千鳥ヶ淵に、このような工芸館があるとは……。赤レンガ造りの建物から重厚な伝統が感じられ、すっかり気に入りました。
企画展は、「未来へつづく美生活展」。
磁器、陶器、ガラス、木工品、漆、竹、絹など、国立近代美術館が所蔵している作品、約100点が展示されていました。
最大の目的だった、志村ふくみさんの草木染め「紬織着物 水煙(すいえん)」に、圧倒されました。しばらく志村さんの作品の前で、立ち尽くしました。
草木染めは、機会あるごとに鑑賞していますが、志村さんの作品は別格だと思います。志村さんが人間国宝であり、文化勲章を受章されたからいうのではなく、作品そのものに他の追従を許さない気品と気迫が満ちているからです。
今回展示された志村さんの作品は、この1点だけでした。39歳と若い時に制作されたものでしたが、この作品に出会えただけでもう十分満足出来ました。
このほか心に留まった作品は、稲木東千里(いなき ひがしせんり)の鉄刀木、加藤土師萌(かとう はじめ)の陶器、富本憲吉(とみもと けんきち)の磁器などでした。
最後は、東京国立博物館平成館の特別展「始皇帝と大兵馬俑(へいばよう)」。
ネットによると、「20世紀の考古学で最大の発見のひとつといわれる『兵馬俑』。始皇帝の陵園そばに埋められていたその数は、なんと約8千体。1974年の発見以来、今もなお、発掘調査は続いています。
本展では、兵馬俑をはじめ、始皇帝や秦にまつわる文物、約130件を展示します。兵馬俑のなかでも、弓の準備をした『立射俑』と『跪射俑』、両手で手綱を操る『御者俑』は、日本初公開の作品です。
もうひとつの大きな見どころは、兵馬俑坑の再現です。実際の兵馬俑と同じ製法で中国で作った、レプリカ約70体が会場に並びます」と、紹介されています。
覚悟して国立博物館に出掛けましたが、会場内はやはり多くの人で大混雑。
「最終的には、約48万人が来場した」と報道されていたのも、頷けます。
小国であった秦の国が、始皇帝によって国家の統一が進められ、中国で初めて皇帝となり、生前の住まいである「咸陽宮殿」と死後の住まいである「陵園」を壮大なスケールで造り上げる流れを、順序立てて知ることができて、とても興味深かったです。
歴史が苦手中の苦手の私でも、わかりやすい解説文により、十分に理解できました。
何といっても一番の見どころは、兵馬俑坑の再現。
兵馬俑のレプリカが約70体、整然と並べられた会場は、臨場感と迫力がありました。面白いことに兵馬俑の顔は、一体として同じものはなく、すべての表情が異なっていました。レプリカとはいえ間近で見ることができ、得難い経験をしました。
2時間半近く掛けて鑑賞しましたが、快い疲れが残りました。
趣向の異なった、3カ所の美術館・博物館めぐり。
自分にとっては、何よりの至福の時間でした。(O)